「イヴの総て」を観た感想。意表を突かれた映画だった

イヴの総て」は1950年公開のアメリカ映画。原題「All About  Eve」

その年のアカデミー賞では作品賞の他6つの賞を受賞した傑作。

 

イヴの総ての映画ポスター

出典:イヴの総てWikipedia  ポスター(1950)


大女優の追っかけが、巧みに取り入り信頼を得て付き人からスター女優にのしあがっていく様を画いた作品。

こんなストーリーが面白くない訳がない。

イヴの総て」というタイトルでこんな展開になるとは想像もしていなかったので意表を突かれた。

 

この作品の原作は、メアリーオアの「The  Wisdom of Eve」(イヴの知恵)という短編小説。

女優エリザベートベルクナーの付き人だった女性の逸話を元に書いたので、全てがフィクションではなく実際にこの映画の主人公のような策略家がいたのだろう。

この「イヴの総て」の見所はたくさんある。

大女優“マーゴ”役のベティ・デイヴィスの迫力と演技の上手さ。

普段虚勢を張って生きているが、本当は純粋で嫉妬深い少女のような一面もあるマーゴを見事に演じている。

マーゴの恋人“ビル”役のゲイリー・メリルとは作中で結婚するが、実際に映画が公開された1950年に結婚している。

 

ベティデイヴィスとゲイリーメリル

出典:イヴの総てWikipedia ベティデイヴィスとゲイリーメリル


付き人から女優にのしあがる“イヴ”役のアン・バクスターの豹変ぶりは見ていて気持ちがいいくらいわかりやすい。

この役は誰でもはできない。善良顔の持ち主に限る。

控えめで上品な善良顔のイヴに皆騙されるわけだから。

 

アンバクスター

出典:アン・バクスターWikipedia 1940年代

マーゴの親友“カレン”役の“セレステ・ホルム”は知的な美人で好きな女優のひとり。

イヴに利用されるお人好しで、アクの強い二人に翻弄される役。

マーゴとビルの結婚を祝う食事会でイヴに脅迫され困っていたが、何もせずとも解決した時に大笑いするカレン。

カレンの心模様があの笑いの中に集約されているようでとても印象的なシーンです。

セレステ・ホルム

出典:セレステ・ホルムWikipedia 1940年頃

そして一番驚いたのが、無名時代のマリリン・モンローが売り込み中の新人女優“カズウェル”役で出演していたこと。

まだ初々しいマリリンモンローはこの時23~24歳くらい。

マリリンモンローといえば左頬のホクロと、顎を少し上げて目も口も半開きのあの顔の印象が強いので、無名時代のモンローはとても可愛く見えた。

チャームポイントのホクロはこの頃からあった。

マリリンモンロー

出典:filmarks.com

作中の“カズウェル”という人物は、演技は微妙だが野望を秘めていて若さと美貌を武器に上手く取り入る強かな新人女優で、当時のマリリンモンローそのまんまな役どころといった感じ。

無名時代のマリリンモンローと比べると、売れてからのモンローはどこか作り物のように見える。新人時代から自信に満ち溢れている感じは変わらないな。

 

この映画のラストは、イヴがマーゴを踏み台にしたように今度はイヴに近づく野望を秘めた娘が…こうやって這い上がっていく世界なんだ…

ブロードウェイの裏側と、どろどろとした人間模様を画いた「イヴの総て」は見どころ満載で何度観てもおもしろいです。

 

 

 

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